更新日:2024年11月20日
日本においてもカジノの施設が検討され始め、それなりの年月が経ちました。
特定複合観光施設区域整備法(IR整備法)も徐々にできはじめ、いよいよ具体的な施策が闊達に議論されているようですね。
そこで、カジノ施設に向けてさまざまな活動をしているのは、実は内閣府に帰属する「カジノ管理委員会」と言う組織であることはご存知でしたか?
内閣府の直下に「カジノ」なんて言葉があることに、びっくりされた方もいるのではないでしょうか?
日本でも、カジノがメジャーなエンターテインメントになるのも、そう遠くないでしょうね!とっても楽しみです。
当記事では、「カジノ管理委員会」について詳しく紹介します。
※注記
当記事は、2021年4月時点のJCRCの公式ページ(https://www.jcrc.go.jp/index.html)に記載されている内容をもとに作成致しました。なお、当記事のカジノという表記は、オンラインカジノを指していないことを予め留意お願いします。より正確な情報をお探しの方は、公式サイトを確認いただくことを推奨致します。
カジノ管理委員会(JCRC/Japan Casino Regulatory Comission)とは、特定複合観光施設区域整備法(IR整備法/IR法)に基づき、内閣府の外局として置かれた行政委員会として、令和2年1月7日に設立されました。
ご存知の方が多いとは思いますが、IR法では統合型リゾート内にカジノを設置することを予定しています。
それにあたって、カジノ管理委員会は、「適切な国の監視及び管理の下で運営される健全なカジノ事業」を実現するために、カジノ施設の設置及び運営に関する秩序の維持及び安全の確保を図ることを目的に設立されたのです。
そのため、カジノ管理委員会は、主にカジノの規制および監督を務め、万が一問題が発生した際には、事業者の排除など、⾏政処分を遂行することが可能となります。
これにより、個人が安全にカジノを楽しめる環境を保つことがカジノ管理委員会の責務となります。
カジノ管理委員会委員会は、委員長及び委員4名をもって構成される合議体です。
委員長及び委員4人に加え、その下に120人体制(令和 2 年度末定員)の事務局が置かれ、他からの指揮監督を受けずに、独立して職権を行使します。
なお、委員長の北村道夫氏は、カジノ管理委員会の初代の委員長として任命されたキーマンです。
北村氏は、早稲田大学の法学部を卒業し、その検察官となり、検事、検事長、防衛監察本部防衛監察監などの重役を歴任し、現在のポストに就任されました。法律分野に特化した経歴をもつエキスパートであることは間違いないですね。
カジノ管理委員会の位置付けは以下のように定められています。
内閣府の外局として設置されているのことが以下の図からわかります。
さらに、カジノ管理委員会の内部は、現在以下のような体制がとられています。
ここでは、カジノ管理委員会の業務について詳しく見ていきましょう。
カジノ管理委員会の総務企画課は、安全で秩序あるカジノ施設の設置・運営のため、カジノ規制の制度設計を進める司令塔として機能しています。
総務企画課の業務には、具体的に以下のようなものがあります。
以下の業務を円滑にこなすために、総務企画課では法律やシステムなどの各分野の専門知識、幹部や各部署と密なコミュニケーションが求められます。
カジノ管理委員会は、現在カジノ規制の制度設計に向けた議論を行っており、総務企画では、委員会審議のロードマップを企画する業務を担っています。
そして、議会の日程調整から資料準備、会議進行のサポート、記録作成など、委員会の意思決定を縁の下で支える仕事は総務企画課の作業の1つとなります。
総務企画課は、担当課が作成したカジノ規制の案について、他の規定と整合性が取れているか、解釈に紛れが生じないか、など条文審査を行っています。
また、他府省から来る法令協議や、法令の解釈・運用に関する他部署からの相談への対応も総務企画課の業務に含まれています。
IR整備法においては、ギャンブル依存症を防ぐ目的で、日本人や日本に居住している外国人に対して、カジノの利用は週3回までという制限を設けています。
そして、これらの制限を守っているかどうかを厳格にチェックするために、総務企画課では、「入退場管理システム」の開発を進めています。
この他にも、カジノ事業者の社会的信用を審査するためのシステムの構築など、情報システムの開発を進めています。
世界では多くの国がカジノを設置しています。
そのような国と連携して、国際協力を推進するのが国際室の役割となります。そして、国際的な事業展開を行い、日本のカジノを国際水準を満たすものにするのが責務だといえます。
国際室の業務には以下のようなものが含まれます。
効果的かつ効率的な規制行政を行うためには、諸外国のカジノ規制当局との連携・協力が必要となります。そして、この役割を担っているのが国際室となります。
国際室では、アメリカやシンガポールなど、厳格かつ効果的なカジノ規制を実施している国との関係を強め、カジノ規制について連携しています。
これらの国とは、「健全なカジノ事業実現のために厳格なカジノ規制を実施する」というマインドを共有しており、日本の取組に対し、協力を得ることができています。
また、外国当局との最新の知見の共有や人材交流、海外の研究機関等での研修を通じて、職員の能力構築を進めていくことも、国際室の役割となっています。
さらに、各国のカジノ産業から、キャッシュレス、顔認証、AI(人工知能)などのテクノロジーについて学ぶのも国際室の役割の1つとなります。各国のカジノではテクノロジーが広く採用されており、日本のカジノ産業においてもそれらのテクノロジーを導入する必要があります。
カジノの設立というのは日本にとっては真新しい取り組みであり、海外から学ぶべきことが多くあります。そのため、国際室を通じた諸外国との交流は、日本のIR事業の成功において欠かせないものとなります。
新型コロナウィルスによる感染者数は依然世界中で増えており、カジノ管理委員会としてはこれに対する対策も検討する必要があります。
実際に、新型コロナウィルスのパンデミックにより、各国のカジノ産業は大きな被害を受けています。
そのため、国際室としては、諸外国の取り組みやその効果を検証することで、日本のカジノ運営における対策を検討する必要があります。
カジノに限ったことではありませんが、ギャンブルには依存症となる人もいるため、カジノ施設を作るにあたって、依存に対する防止策を事前に検討することが重要視されています。
カジノ管理委員会では、カジノの設立がギャンブル依存症の増加を促すことがないよう、依存対策課を設置しています。
カジノ管理委員会の依存対策課では以下の業務に取り組んでいます。
国民を取り巻く社会的環境は絶えず変化しており、これに伴い社会的課題も大きく変化しています。ギャンブル依存症も例外ではありません。
そのため、依存対策課では常に内閣官房、厚生労働省などの関係省庁、海外のギャンブル規制当局などとも情報交換を行い、常に最新の知見や情報の収集に努めています。
そして、社会的課題とその変化に向き合い、国民にとって最善の政策の実行に取り組んでいます。
ギャンブル等依存症は外部から判断することが難しいところが特徴です。そのため、対策課では、以下の「重層的・多段階的な取組」を実施しています。
これらを実施することで、カジノ設立後にギャンブル依存症者の数が増加することを防ぎます。
規制監督課では、カジノ管理委員会による規制が適正に運用されているかを監督する役割を担っています。
具体的には以下の業務が割り当てられています。
カジノ事業者については免許を取得し、カジノ規制に従いつつカジノ運営をすることが求められます。
規制監督下ではカジノ事業者だけではなく、その役員や主要な株主、IR施設の土地の権利者といった関係者も含め、カジノ規制に従っているか、厳格な審査・監督を行っています。
また、カジノ施設に関わる従業者の役職や業務についても、個別に審査・監督を行います。
カジノ管理委員会では、カジノ事業の健全な運営のため、カジノで行われるゲームの種類や方法、カジノ施設の構造・設備やゲーミング区域の床面積の制限、カジノ施設内で行われるレストランやライブショー等について規制を定めています。
そして、これらが規制に従っているかの監督を行うのが規制監督課の業務の1つとなります。
その他、20歳未満の者の利用、暴力団員等の入場を禁止、日本人の入場回数の制限などに関する規制も規制監督課が監督する必要があります。
カジノでは不正行為が発生することが少なくありません。そこで、規制監督課ではカジノの公平性を保つために、スロットマシン等のカジノ行為に使用されるカジノ関連機器等につて規制を設けています。この規制では、機器の製造や設置場所などが細かく指定されており、不正が行えないように管理しています。
また、ゲーム機の製造業者等についても、不正防止及び違法カジノへの流失防止を目的に、厳格な審査を行います。
規制監督課は、カジノ事業者が締結する契約についても厳格な監督を行います。
そして、反社会的勢力の排除を徹底し、カジノ事業の収益の不正流出を防止することを目指しています。
カジノは犯罪が発生しやすい場所でもあります。そのため、カジノ管理委員会では犯罪を防ぐことを目的に犯罪収益移転防止対策室を設置しています。
犯罪収益移転防止対策室では主に以下の業務を担っています。
マネー・ローンダリングとは、犯罪によって得た収益を、その出所や真の所有者が分からないようにして、捜査機関による収益の発見や検挙を逃れようとする行為のことを指します。
カジノでは多くの資金が集中すると共に、多額の現金取引が行われるため、マネーロンダリングが発生しやすいとされています。
また、犯罪収益でチップを購入し、再び現金に払い戻す、他の顧客のチップを犯罪収益で買い取る、多額の小額紙幣をカジノの窓口においてより管理しやすい高額紙幣に両替する、などの手口がカジノでは可能となります。
これらを踏まえ、カジノ管理委員会では、カジノを免許制とするとともに、事業者に対して、取引時確認、取引記録の作成・保存、疑わしい取引の届出などを義務付けることとしています。届け出の具体的な内容は以下の通りです。
ここでは各カジノ事業者を監督する責務を負う調査課の業務を紹介します。
現在、調査課職員は各府省から集い、それぞれのノウハウを背面調査に活用すべく、日々、調査手法等の検討を行っています。
カジノ管理委員会では、カジノを運営するにあたって事業者に対し、カジノ事業の免許等の基準として、暴力団該当性等の欠格事由に当たらないことに加え、「十分な社会的信用を有する者であること」を求めています。
背面調査によってこの「社会的信用」を調査しています。そして、この背面調査の企画立案及び実際の調査を担当しているのが調査課なのです。
調査課はIR整備法に基づき、あらゆる角度から厳格な調査を行います。例えば、カジノ事業免許の申請者等に対する聴取を行ったり、現地調査のために海外に行くこともあります。
そして、実効性のある調査を実施するため、関係行政機関に対する事実確認や民間事業者を活用するとともに、外国当局との情報交換等も行います。
財務監督課は、カジノ事業者等の監督事務のうち財務に関する事務や納付金等の徴収等に関する事務を担当しています。
具体的には、主に以下のような業務を担当しています。
カジノ事業等が安定的かつ継続的に運営されるためには、財務面の健全性も重要な要素となります。
そのため、カジノ事業者が免許を申請する際には、IR整備法に規定されている基準に基づき、事業を健全に遂行するに足りる財産的基礎を有し、かつ、当該事業に係る収支の見込みが良好であることが審査されます。
そして、免許付与後においては、事業年度ごとに経理の状況等を記載した財務の提出をすると共に、引き続き事業を健全に遂行するに足りる財産的基礎を有し、かつ、当該事業に係る収支の見込みが良好であることの確認が行われます。
このような財務に関する監督は、すべて財務監督課の管轄となります。
カジノ事業者は、IR整備法に基づき、カジノ行為粗収益の 3 0%を国庫納付金・認定都道府県等納付金として、また、入場料・認定都道府県等入場料計 6,0 0 0 円(2 4 時間単位)を入場者(国内に住居を有しない外国人を除く)から徴収し、入場料納入金等として、国に納付しなければなりません。
そこで財務監督課は、適正な金額が国に納付されるよう、カジノ事業者が行うカジノ行為粗収益の集計に関する業務の手順及び体制の手続を認可するなど、必要な規制・監督を行う業務を担います。
カジノ管理委員会で、どのような人が業務を行なっているのかが気になりますよね?現在、カジノ管理委員会では、採用活動を行っているため、公式サイトで求人情報が掲載されていました。
ここでは、カジノ管理委員会の求人募集要項を紹介します。政府の組織だけあり、やはり、国家公務員採用試験をパスした人でないと働けないようです。
国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験) 志望者
カジノ管理委員会は以下の住所に本部を設置しています。
〒105-6090 東京都港区虎ノ門4丁目3-1 城山トラストタワー 12・13階
まだ構想段階ということもあり、いろいろと不確かなところはありそうですが、カジノ管理委員会が内閣府の直下の組織という点から、日本政府のカジノ事業に対する期待は、かなり高そうですね!
また、入場回数の制限などカジノの依存症に対する防止策が、構想段階から厳しめな点は、カジノ事業という”攻め”な施策に対する保守的なアプローチで、バランス感が取れていて好感が持てます。
やるからには、長期的に実行でき、極力問題を招かないようにすると言うことが念頭にあるのでしょう。
事業がうまくいき、マルタ共和国やイギリス、キュラソーのようにライセンスを発行するようなレベルを目指すか、あるいは行けるかは、まだわからないですし、いずれにしれにしてもそこまで到達するにはかなり時間がかかりそうです。
カジマル.comは、カジノ事業が日本でも根付き、エンターテインメントとしてたくさんの人に楽しんで頂ける日が来ることを願っています。
オンラインカジノを楽しんでいる方々も、現在特に明確規制がないとはいえ、行き過ぎたプレイをしないように、娯楽として楽しめる範囲内でプレイしましょう!
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小山道也
カジマル編集長担当、オンカジ業界専門家
オンカジ業界経験10年超。コンサルタントとして就業した後に、欧州でビジネス修士号を取得。そして、海外マーケテシング企業にて、オンラインカジノのメディア立ち上げに携わり、今に至る。 論理思考や分析思考をもとに、入金不要ボーナスをさまざまな観点で解析し、読者に分かりやすく解説するのが得意。独自のレーダーチャートは、その他メディアでも参考にされ業界の標準化にも貢献した。当メディアの運営以外では、オンカジサイト立ち上げ時の外部アドバイザーとしても活動している。
西尾昇
コンテンツ制作担当
ディーラーとしてゲーミング業界に携わる。その後、表舞台からは身を引き、コンテンツ制作に回り、ルーレットやバカラのゲーム解説や攻略記事をはじめ、オンカジ比較評価記事やボーナスの解説コンテンツの制作に従事。業界での人脈が広く、各社のキーパーソンと繋がっているので裏情報にも精通。カジマル.comでは、業界の隅々を分かりやすく解説し定評を得る。エディトリアルメンバーの中ではエキスパートとして立ち回っている。