更新日:2024年11月7日
バリューベットの導入部
ポーカーは、よく役の強さで競うカジノゲームと説明されます。この説明で間違っていませんが、それだけではありません。カードの組み合わせ以外に、ベットの仕方も大きく勝負を左右します。
ポーカーではバリューベットという用語があり、プレーヤーの利益を最大化するためのベットを指します。当ページでは、バリューベットの考え方や決め方を紹介します。これをきっかけにポーカーの奥深さを知って頂き、中・上級プレーヤーへの足掛かりとなることを願っています。
なお当ページではポーカーおよびテキサスホールデムのルールや役を知っていると想定して、解説を進めます。ご存知でない方は、当サイトの各種解説ページを参照しながら読んでみてください!
- Pokerの概要解説
- ポーカーのルール
- テキサスホールデム入門
ポーカーのバリューベットとは?
ポーカーのバリューベットとは、プレーヤーの利益を最大化するためのベットを意味します。あなたの手札が強い時に、それより弱い手札を持つプレーヤーから極力多くベットしてもらい、最後にたくさんのポットをごっそり獲得することが狙いです。
そもそも、テキサスホールデムはゲームを続行するためには、前のプレーヤーと同額あるいはそれ以上のチップを払わなければなりません。(ポーカーの用語ではこれを、コールそしてレイズと言います。なお使えるケースは限られていますが、チェックというパスを意味するアクションも選択できます。)
他のプレーヤーの立場から見ると、あなたがどれくらいの量のチップを賭けるかは、どれくらい自信があるか、ハッタリ(ブラフ)で強気に出ているのか、などを推測する判断材料にもなります。相手のプレーヤーはあらゆる考えを巡らせた上で、コールやレイズ、そしてフォールド(辞退)の中から何がいいかを決めます。
要するに、ベットサイズはポーカーでは非常に重要なのです。やたらに大きなベットサイズを賭けてしまうと、他のプレーヤーが良いハンドを持っていた場合に損をします。攻めるにしても守るにしても状況にあったベストなベットサイズが、長期的に勝つためのカギになります。
そこでバリューベットとなるベットサイズを検討する方法はいろいろあります。当記事で紹介するのは、長期的に見て多く勝つ選択肢を導く、期待値に基づいたプレイの仕方を紹介します。もちろん、ポーカーの試合を進める上で相手がどう振る舞うかなどを見てブラフを仕掛ける、あるいはフォールドすることも重要です。しかし、数学的に考えて何がいいかを知っておくと、一歩上のプレイができるようになります。以降で、期待値の考え方を見ていきましょう。
そもそも期待値って?
期待値は、英語でエクスペクテッド・バリュー(Expected Value)と呼ばれ、文字通り期待される値を意味します。長期的に視点で、平均してどれくらい勝つか、負けるかを数値で表した指標です。また、期待値はEVと省略されることが多いです。期待値が良い時はポジティブな期待値(+EV)、期待値が悪い時はネガティブな期待値(-EV)と形容されます。
カジノにおいては、各アクションの選択肢に対して、どれくらいの期待値があるかを計算し、期待値が高い選択肢を選んぶことが合理的的とされています。ここで言う合理的というのは、確率的に理にかなっているということなので、期待値が良いアクションが必ずしも毎回良い結果になるとは限りません。ただし、長期的に勝つためには、偶然な勝ちに頼るだけではいい結果を残すのは難しいでしょう。確率的な観点をベースに戦略を立てることをおすすめします。
ポーカーにおける期待値とは?
ポーカーにはどの場面にも、期待値があります。当然のことですが一方が有利な時は、もう一方は不利なのです。上で、説明した通り期待値は長期的に見た時に、より有利な選択肢を推定するのに有益な指標です。ポーカーにおいてもその理論は当てはまります。
例えば、プリフロップでエースのポケット・ペアがそろっていて、相手が10のポケット・ペアを持っているのであれば、オールイン(手持ちのチップを全部賭ける)して、コール(ゲーム続行)するのが、期待値的には合理的な判断です。しかし、確率は低くても不運にも相手が有利になることはあり得ます。ただし、回数を重ねると期待値に基づいて判断した方が、長期的に見てより多く勝つことができます。
数理的なポーカーの基本戦略は、”勝ちを最大化し、負けを最小化すること”が核心です。要するに、ポーカーで勝つならポジティブな期待値(+EV)のアクションをとるべきと言えます。期待値がポシティブな手をできる限り多く重ねることが、長期的な勝ちを導くのです。
ポーカーの期待値の計算方法
では、具体的にどのように期待値を計算するか、当セクションで紹介します。基本的な期待値の計算式は以下の通りです。テキサスホールデムでは、プリフロップ、ターン、リバーなどの各フェーズで期待値を検討できます。そしてここでのポイントは、ポーカーの場合相手の手札が分からないので、正確な勝率を算出することはできない点です。ゆえに相手のプレイの仕方から、手札の状況に対して仮説を立てた上で、おおよその勝率を算出します。実践するのは非常に難しいことです。ですが、考えを広げ何が妥当であるかを検討するところにも、ポーカーの面白さと攻略の手がかりが隠されています。
EV = [A] - [B]
[A]:[どれくらいの頻度で勝つか(勝つ確率)] × [勝った時にどれくらいもらえるか(利益)]
[B]:[どれくらいの頻度で負けるか(負ける確率)] × [負けた時にどれくらい失うか(損失)]
バリューベットにどう期待値を活用するか?
ポーカーの利益とは、ポットの総額から自分で支払ったチップの差額を指します。そして、チェック、フォールド、コール、レイズの期待値を求めます。そしてレイズの期待値が高ければ、さらに期待値が高くなるベットサイズを探ります。仮定が計算に含められられているため、必勝方程式のような絶対的なものではありませんが、直感をベースにした戦術よりも、長期的に見てより安定した戦績を残せるでしょう。
まとめ
ポーカーは他のカジノゲームに比べると複雑ですが、将棋やチェスのような面白さがあります。運ばかりが勝敗の決め手ではないので非常に学び甲斐があるゲームです。
日本にも木原直哉さんのような、世界で活躍しているプロのポーカープレーヤーがいます。彼らのようなプロのプレーヤーは、数値に裏付けられた戦略を駆使しているのです。当記事で紹介した期待値を考慮するアプローチは、理論的なテキサスホールデムの攻略に対する入門レベルです。少しでも興味を持って頂けたら、プロポーカープレーヤーのブログやツイッター、本、など各種ノウハウ共有メディアを参照してみてください。論理的思考が好きという方は、きっと上達していくはずです!
テキサスホールデムの戦略やポーカーの確率も合わせて確認してみてくださいね!
小山道也
カジマル編集長担当、オンカジ業界専門家
オンカジ業界経験10年超。コンサルタントとして就業した後に、欧州でビジネス修士号を取得。そして、海外マーケテシング企業にて、オンラインカジノのメディア立ち上げに携わり、今に至る。 論理思考や分析思考をもとに、入金不要ボーナスをさまざまな観点で解析し、読者に分かりやすく解説するのが得意。独自のレーダーチャートは、その他メディアでも参考にされ業界の標準化にも貢献した。当メディアの運営以外では、オンカジサイト立ち上げ時の外部アドバイザーとしても活動している。
西尾昇
コンテンツ制作担当
ディーラーとしてゲーミング業界に携わる。その後、表舞台からは身を引き、コンテンツ制作に回り、ルーレットやバカラのゲーム解説や攻略記事をはじめ、オンカジ比較評価記事やボーナスの解説コンテンツの制作に従事。業界での人脈が広く、各社のキーパーソンと繋がっているので裏情報にも精通。カジマル.comでは、業界の隅々を分かりやすく解説し定評を得る。エディトリアルメンバーの中ではエキスパートとして立ち回っている。