更新日:2024年11月7日
テキサスホールデムの場の読み方の導入部
テキサスホールデムは、手元のカードと表向きに置かれているコミュニティカード、つまり知り得る限られたカードから状況を読み取ることが非常に重要なゲームです。コミュニティカードと自分のカードを見て、どのカードが有利なのか、どのカードが不利なのかを分析しながらゲームを進めることが、テキサスホールデムで勝つには必要と言えます。
この記事では、ホールカード(手札)とコミュニティカードをもとに、どのように状況を分析し、勝率を予想できるかを解説していきます。この記事の内容をよく理解して、どのタイミングでフォールドまたはレイズするべきなのかを判断できるようになりましょう。
なお、当記事は基本的なポーカーのルールを学習した読者を対象としています。ルール等のエントリーレベルの情報は、当サイトの各種解説ページを事前にご確認をお願いします。
- Pokerの概要解説
- ポーカーのルール
- テキサスホールデム入門
フロップのパターンと特徴を覚える (フロップのボードテクスチャを覚える)
テキサスホールデムでは、フロップで合計5枚あるコミュニティカードのうち3枚が表向きに開かれます。そして、この3枚のコミュニティカードと2枚のハンドを合わせた5枚でどんな役が作れたか、そしてこの後どんな役を作れるかの可能性を見ます。
以降で、特に重要なフロップのパターンと特徴を紹介します。コミュニティカードの特徴をボードテクスチャと呼びます。これらを覚えておくと、フロップの段階で、狙える役を絞れたり、相手のアクションに対して検討がつくようになります。きちんと覚えておきましょう。
レインボーフロップ(The Rainbow Flop)
レインボーフロップとはハンドのカードの柄(スート)がすべて異なることを意味します。コミュニティカードがレインボーフロップの場合、この時点で得られる同じスートのカードの最大数は、コミュニティカードとハンドを合わせて3枚となります。
そのため、最終的なハンドでフラッシュを狙うには、ターンとリバーで表向きにされるコミュニティカードが2枚ともハンドと同じ絵柄でなければいけません。
フラッシュドローフロップ(The Flush Draw Flop)
フラッシュドローフロップとは、3枚の表向きのコミュニティカードのうち、2枚が同じスートの状態のことを指します。この場合、プレイヤーは自分のハンドと合わせて、最大4枚の同じ柄のカードを持つことができます。そして、ターン、あるいはリバーで同じスートのカードが出れば、フラッシュを作ることができます。
スーテッドフロップ(The Suited Flop)
スーテッドフロップとは、表向きになった3枚のカードがすべて同じスートである状態を指します。この場合、ハンドと合わせてこの段階ですでにフラッシュが完成することもあります。
スーテッドフロップの一部のカードを使用して役を作ろうとしても、他のプレイヤーがフラッシュを成立させる可能性があります。自分のハンドではフラッシュやそれ以上強い役を作ることができない場合は、勝負に出ずにフォールドしてしまった方がいいでしょう。他のプレーヤーが一枚でもスーテッドフロップのスートと同じカードを持っていたら、強気なベッティングをすることが考えられます。
ペアフロップ(The Paired Flop)
ペアフロップとは、スートに関係なく表向きの3枚のコミュニティカードにベアがある状態のことを言います。この場合、フルハウスまたはフォーオブアカインドを作れる可能性があります。そのため、他のプレーヤーがそれなりに強い役を揃えている可能性が高いと注意しながら、アクションを検討しなければなりません。
ベストハンドを推測する
コミュニティカードをもとに単にどの役を作れるか推測するだけではなく、その中でも一番強い役(ベストハンド)が何かまで考えるとより具体的な戦略を立てられます。以降で、状況別に何がベストハンドを見ていきます。
例1:フルハウス
ハンド:2(ハート)、2(クローバー)
コミュニティカード:K(スペード)、10(ハート)、10(ダイヤ)、3(スペード)、2(クローバー)
この場合、2が3枚、10が2枚あるので、この状態で一番強い役はフルハウスとなります。
例2:フラッシュ
コミュニティカード:K(クローバー)、A(ダイヤ)、7(クローバー)、5(クローバー)、2(クローバー)
この場合は、コミュニティカードに4枚のクローバーがあるので、ハンドに1枚でもクローバーがあれば、フラッシュを作ることができます。特にハンドにAやQ、Jがある場合は、他のフラッシュを成立させたプレイヤーがいた場合でも有利になります。
例3:ストレート
コミュニティカード:7(スペード)、4(ダイヤ)、3(クローバー)、10(クローバー)、5(ダイヤ)
この場合、ハンドに6があると、3-4-5-6-7のストレートを作ることができます。または、ハンドに6と8があると、4-5-6-7-8のより強いストレートを作ることが可能になります。
どのハンドが最も強いか考える
テキサスホールデムでは、コミュニティーカードに基づいて最も強いと考えられる手札をナッツと呼びます。テキサスホールデムをプレイするには、他のプレイヤーがどのような役を成立させる可能性があるのかを予想することも大切です。なぜなら、そうすることによって自分のハンドの優位性を評価できたり、どのくらいの確率で他のプレーヤーが自分より強い役ができるか、仮説を立てられるためです。
例え自分のハンドで役が成立したとしても、他のプレイヤーがより強い役を作ってしまえばゲームに負けてしまいます。ここではそれぞれのシチュエーションに応じて考えられるナッツを紹介します。
例1:ストレートを狙える時
コミュニティカード:9(ダイヤ)、2(スペード)、6(ハート)、8(スペード)、A(クローバー)
上記の場合、コミュニティカードにぺアが一枚もなく、1組のスートのみだそろっています。この時、実現可能で最も強いハンドはストレートです。なお、スリーカードはストレートより劣ります。ストレートのパターンは、5-6-7-8-9、そして6-7-8-9-10の2パターンが成立する可能性があります。
この場合、数字が高い6-7–8-9-10を成立させたプレイヤーが勝利となるため、最も強い次ハンド、つまりナッツは7-10です。その次は、5−7です。
例2:フォーオブアカインドを狙える時
コミュニティカード:9(ダイヤ)、9(クローバー)、A(ダイヤ)、6(スペード)、6(クローバー)
この場合、コニュニティーにペアが2組あります。これらで作る役で一番強いものはフォーオブアカインドとなります。なお、フルハウスはフォーオブアカインドに劣ります。ゆえに、ハンドが9のペアがナッツで、ハンドが6のペアなら2番目に強いハンドと言えます。
例3:スリーカードを狙える時
コミュニティカード:J(スペード)、3(ダイヤ)、K(スペード)、8(ダイヤ)、5(クローバー)
上記の場合、コミュニティカードにペアがなく、1組のスートのみがそろっているため、ほとんどの役が成立しません。まずこの状態でフラッシュを作ることができないですし、数字がバラバラなのでストレートもできません。この場合、実現可能で最も強い役はスリーカードです。よって、ハンドがKのペアの時にKのスリーカードが成立するので、これがナッツと言えます。同じ要領で、その次に強いのがJのペアです。
自分のハンドの強さを知る
コミュニティカードは、ハンドとの組み合わせよくとても有益になることもあれば、組合せが悪くまったく役に立たないこともあります。また、役によっては成立したとしても、他のプレイヤーに負けてしまうこともあります。そのため、コミュニティカードに応じた状況を読めるようになり、自分のハンドが他のプレーヤーと比較してどのくらいの強さなのか、あるいは相手がどう攻めてくるかを理解できるようになりましょう。
以下で、ハンドがどれくらいの強さなのかをコミュニティカードを見ながら評価していきます。
例1:フルハウスの場合
ハンド:2(ハート)、2(クローバー)
コミュニティカード:J(クローバー)、10(ハート)、10(ダイヤ)、3(クローバー)、2(スペード)
この場合、フルハウスが成立しています。しかし、ここで問題なのが、3つの数字が揃っている数字「2」が弱い点です。他のプレイヤーのハンドが、10が2枚でフォーオブアカインド、そしてJ、3がそれぞれ2枚、または10と3、10と2、10とJの組み合わせなら、優位なフルハウスが成立するため、そのプレイヤーの勝利となります。
つまり、2が2枚のハンドの場合、フルハウスとは言え7番目のハンドであり、ナッツではないのです。そのため、ベッティングをするときは、フルハウスだからと舞い上がってやたらに賭けるのではなく、負ける可能性も考慮して金額を抑えておくと安心です。
例2:フラッシュの場合
ハンド:A(ハート)、10(クローバー)
コミュニティカード:K(クローバー)、A(ダイヤ)、7(クローバー)、5(クローバー)、2(クローバー)
上記のようなハンドの場合、フラッシュが成立しています。しかし、他のプレイヤーがクローバーのA、QまたはJを有している場合、より数字が大きいためそのプレイヤーの勝利となります。
例3:ストレートの場合
ハンド:4(ハート)、4(クローバー)
コミュニティカード:7(スペード)、4(ダイヤ)、3(ダイヤ)、6(スペード)、5(クローバー)
この場合すでにコミュニティカードだけでストレートが成立しています。この場合、ハンドに8または8と9があると、より強いストレートを作ることができます。他のプレイヤーが8と9を持っている可能性が高いので、このハンドで大金を賭けるのはリスクが高いといえます。
SWOT分析で状況を分析する
ビジネスシーンで企業の分析をする際にSWOT分析が頻繁に使用されていように、ポーカーにおいてもこのアプローチがカードを評価する際に使えます。SWOT分析とは、強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Opportunity)、脅威(Threat)の頭文字をとって名付けられたもので、この4つのカテゴリーを分析して戦略を練ることを言います。
以下で、スターティングハンドとフロップに対してどうSWOT分析を実施するかを紹介します。
例1
ハンド:7(ハート)、7(クローバー)
コミュニティカード:5(クローバー)、7(ダイヤ)、K(クローバー)
上記の状況は、以下のように分析できます。
S(強み):ハンドと合わせて7のカードが3枚揃っているのが強みとなります。
W(弱み):他のプレイヤーがKを2枚持っている場合に負けてしまいます。しかし、この段階では2番目に強いハンドを持っていることになるため、弱点として問題視する必要はなさそうです。
O(機会):すでにペアが成立していますが、さらにハンドを強くすることができます。残りのコミュニティカードに、さらに7がくればフォーオブアカインドが成立します。もしくは、5かKが出ればフルハウスが成立します。
T(脅威):ターンまたはリバーでさらにクローバーのカードが出た場合、他のプレイヤーがフラッシュを成立させる可能性があります。Kが出ればフルハウスが成立しますが、同時に他のプレイヤーが8以上の数字でフルハウスを成立させてしまう可能性も考えられます。
例2
ハンド:6(スペード)、7(スペード)
コミュニティカード:8(スペード)、5(ダイヤ)、2(スペード)
上記の状況は、以下のように分析できます。
S(強み):5-6-7-8とすでに4つの数字が並んでいるので、リバー、ターン次第でストレートを作ることができます。さらに、ハンドとコミュニティカードに4枚のスペードがあるので、フラッシュも成立しやすいといえます。
W(弱み):このハンドでは、全体的に数字の数が小さいので、ペアが成立したとしても勝率が低いといえます。
O(機会):4か9がリバー、ターンででればストレートを作ることができます。
T(脅威):この場合、例えフラッシュが成立したとしても、手札の数字が小さいのが難点です。そのため、他のプレイヤーがより大きい数字でフラッシュを成立させた場合、負けてしまう可能性が高いといえます。つまり、フラッシュはストレートより強い役ですが、この場合他のプレーヤーに対しても機会となるため、必ずしも望ましくないと言えます。一方、ストレートであれば実現しえる数字の領域が限られているため、より勝ちやすいと言えます。ここで重要なポイントは、より強い役を狙うことがベストとは限らないということです。状況によっては、劣っている役を望んだ方が有利になることがあります。
例3
ハンド:A(ハート)、5(ハート)
コミュニティカード:10(クローバー)、A(ダイヤ)、3(クローバー)
上記の状況は、以下のように分析できます。冒頭で説明した通り、このコミュニティカードの状況はレインボーフロップです。手札と合わせると同一のスートがないため、フラッシュの可能性はありません。
S(強み):Aのペアが揃っている点が強みと言えます。
W(弱み):このハンドではキッカーが弱いことが難点です。なお、キッカーとは、役の組み合わせに属さないカードを指します。この場合は5(ハート)のことです。また、このハンドではハンドとコミュニティカードの絵柄が一致していないため、フラッシュを成立させることができません。
O(機会):リバーまたはターンでAが出た場合、スリーカードが成立します。また、5が出た場合は、ツーペアが成立します。
T(脅威):このハンドではキッカーが弱いため、後の段階で他のプレイヤーがより強い役をそろえる可能性をはらんでいます。
段階別にナッツを評価する
最初にナッツを持っていたとしても、その後もずっとゲームが有利に進むわけではありません。以下の例を見てみましょう。
ハンド:A(ダイヤ)、K(スペード)
コミュニティカード:10(クローバー)、J(スペード)、Q(スペード)
この場合、Aを含むストレートがすでに成立しています。フロップの段階でSWOT分析をするとこのハンドは非常に強いです。唯一の脅威は、後に他のプレイヤーがストレートを上回るフラッシュを成立させてしまう場合です。そして、フロップでコールをした後に、4枚目のコミュニティカードとしてQ(クローバー)がめくられたとしましょう。すると、ストレート以上の役ができるため、あなたのハンドはナッツではなくなってしまいます。
次に、リバーで、J(クローバー)がめくられたとします。これにより、フラッシュの可能性だけではなく、他のプレイヤーがQまたはJのいずれかを持っていればフルハウス、そしてQまたはJを2枚持っていればフォーオブアカインドが揃う可能性もあるのです。つまり、ストレートでは勝てる可能性が低くなってしまうのです。
このように最初にナッツを持っていたとしても、リバー、ターンでめくられるカードによって、どんどんゲームが不利になっていくこともあります。
場の情報を最大限に活かしてテキサスホールデムの戦略を立てよう
テキサスホールデムではコミュニティカードが最初に3枚表向きになります。この3枚のカードと自分の2枚のハンドをもとに、どのような役を作れるのかをある程度予想できます。また、他のプレイヤーが作りやすい役も予想できます。これによって自分の手札が全体の中でどれくらい良いのか、先の段階でどう展開していくか等のパターンの見当がつきます。その状況を把握した上で、賭け金を判断するのがテキサスホールデムのポイントです。
テキサスホールデムではすでに与えられている情報をもとに分析をすることで、勝率を上げることができます。ぜひ今回初回した例のように、ゲームごとにありとあらゆる可能性を検討しつつ賭けを進めるようにしましょう。
さらにレベルアップしていきたい人は、テキサスホールデムの戦略やポーカーの確率について勉強すると良いでしょう。
小山道也
カジマル編集長担当、オンカジ業界専門家
オンカジ業界経験10年超。コンサルタントとして就業した後に、欧州でビジネス修士号を取得。そして、海外マーケテシング企業にて、オンラインカジノのメディア立ち上げに携わり、今に至る。 論理思考や分析思考をもとに、入金不要ボーナスをさまざまな観点で解析し、読者に分かりやすく解説するのが得意。独自のレーダーチャートは、その他メディアでも参考にされ業界の標準化にも貢献した。当メディアの運営以外では、オンカジサイト立ち上げ時の外部アドバイザーとしても活動している。
西尾昇
コンテンツ制作担当
ディーラーとしてゲーミング業界に携わる。その後、表舞台からは身を引き、コンテンツ制作に回り、ルーレットやバカラのゲーム解説や攻略記事をはじめ、オンカジ比較評価記事やボーナスの解説コンテンツの制作に従事。業界での人脈が広く、各社のキーパーソンと繋がっているので裏情報にも精通。カジマル.comでは、業界の隅々を分かりやすく解説し定評を得る。エディトリアルメンバーの中ではエキスパートとして立ち回っている。