更新日:2024年11月22日
ゲーミング事業総覧編集部にて、2024年9月の香港証券取引所に上場している主要ゲーミング関連3銘柄の株価推移について、比較分析しました。
2024年9月|香港証券取引所-ゲーミング主要4銘柄比較調査結果報告
「ゲーミング事業関連主要株価分析レポート」では、証券取引所別に区分けし、株価が高い銘柄を主要銘柄として、定期的に調査結果のレポート公開をしています。
調査の目的、及び事前調査の方法等に関しては、親記事に掲載中のため、適宜リンク先からご確認をお願いします。
当レポートでは、2024年9月の香港証券取引所の主要ゲーミング関連銘柄の株価推移の分析レポートを公開します。
調査対象の、香港証券取引所の主要ゲーミング関連の主要銘柄は以下の通りです。
- MGM China Holdings Ltd
- Melco International Development Ltd
- SJM Holdings Ltd
2024年9月のこれらの主要ゲーミング関連銘柄の株価推移を分析した結果、すべての銘柄が下落傾向にありました。
「Melco International Development Limited」は6.35%の最大の下落を記録し、次いで「MGM China Holdings Limited」が5.88%の減少、そして「SJM Holdings Limited」は3.69%の下落です。
今回の分析結果から、パンデミック後の回復が進む一方で、マカオのカジノ業界はまだ完全には以前の勢いを取り戻せていないことが明らかになりました。
マカオ政府観光局が発表したデータによると、2024年上半期には約1,673万人がマカオを訪れ、観光客数は増加傾向にありますが、パンデミック前の2019年の2,028万人と比べると約82.5%にとどまっており、これが業界の収益に影響を与えています。
以前はお金を増やす方法としてのギャンブルとして人気があったものの、PAGCORによるフィリピンのカジノの規制強化など、外部環境の変化も業界のパフォーマンスに影響している要因と考えられます。
これらの動向は短期的な市場の不安定さを増幅させており、各企業の戦略とともに、中国本土やアジア周辺国の経済状況にも注意を払う必要があると考えられます。
※通貨単位はHKD – 香港ドル
(グラフソース:Google Finance)
2024年9月時点香港証券取引所主要銘柄別推移
以降では、当レポートの調査対象である、香港証券取引所の主要ゲーミング関連3銘柄について、銘柄別の株価推移を1ヶ月間、及び6ヶ月間の推移グラフを掲載します。
2024年9月時点、MGM China Holdings Ltdの1ヶ月、6ヶ月推移データ
MGM China Holdings Ltdの2024年9月時点での1ヶ月、6ヶ月間の推移データは以下の通りです。
当該1ヶ月間の株価は約HKD 11.20で始まり、9月初めにはHKD 10.56まで下落しました。この期間中、株価は約5.88%の下落を記録しており、特に8月中旬以降にかけての下降が顕著です。
一方、6ヶ月間の株価推移を見ると、4月にはHKD 15.00近くまで上昇しましたが、以降は下落傾向が続き、最終的に9月にはHKD 10.56まで下がり、6ヶ月間で約9.74%の下落です。
MGM China Holdings Ltdは、マカオを拠点に統合型リゾートの開発・運営を行うMGMリゾーツインターナショナルの子会社であり、中国本土や他地域からの観光客を主要ターゲットとしているため、市場動向の影響を直に受けやすいと考えられます。
このため、今後も中国本土からの観光客動向やマカオ政府の規制に注目する必要があるでしょう。
(グラフソース:Google Finance)
2024年8月時点、Melco International Development Ltdの1ヶ月、6ヶ月推移データと比較分析
Melco International Development Ltdの2024年8月時点での1ヶ月と6ヶ月間の推移データは以下の通りです。
当該1ヶ月間の株価は約HKD 4.40で始まり、9月初めにはHKD 4.13まで下落しました。この期間で株価は約6.35%の減少を記録し、8月中旬以降にかけて緩やかな下落傾向が続いています。
一方、6ヶ月間のデータでは、株価は約HKD 6.50で始まり、9月初めにはHKD 4.13まで下落しました。6ヶ月間での下落率は約15.54%で、全体的に低迷するトレンドが確認されています。
Melco International Development Ltdは、大阪IRへの参入機会を模索していますが、今後は香港マカオ以外でのIR開発の成功が、同社の株価回復にとって重要な鍵になるでしょう。
(グラフソース:Google Finance)
2024年9月時点、SJM Holdings Ltdの1ヶ月、6ヶ月推移データ
SJM Holdings Ltd の2024年8月時点での1ヶ月、6ヶ月間の推移データは以下の通りです。
当該1ヶ月間の株価は$2.35で始まり、月末には$2.35に下落しました。この期間で、株価は約3.69%の減少を記録しています。
一方、6ヶ月間のデータでは、株価は約$2.28から始まり、一時的に上昇して$3.20を超える場面もありましたが、最終的には$2.35に下落しました。
これらのデータからわかるように、SJM Holdings Ltdの株価は短期的には安定せず、6ヶ月スパンでは上昇傾向にあるものの、7月以降の急激な下落が懸念材料です。
SJM Holdings Ltdは、マカオを拠点とするカジノ運営企業であり、事業の多くが中国本土からの観光客に大きく依存しているため、市場動向に左右されやすい傾向にあります。
今後の株価回復には、観光客数の増加や規制環境の変化への迅速的な対応が重要になっていくでしょう。
(グラフソース:Google Finance)
総評
2024年上半期を振り返ると、香港・マカオのゲーミング業界は回復を見せているものの、パンデミック前の水準にはまだ到達しておらず、依然として課題が残っています。
観光客数は増加傾向にあるものの、ギャンブルの還元率への懸念や消費行動の変化、厳しい規制の影響が、業界全体の収益に影響を与え続けています。
香港証券取引所に上場する主要ゲーミング銘柄の株価を分析した結果、1ヶ月間では「MGM China Holdings Ltd」が5.88%、Melco International Development Ltdが6.35%、SJM Holdings Ltdが3.69%の下落を示しました。
全体として短期的な不安定さが浮き彫りになっていますが、今後の市場動向は、香港・マカオの観光業の回復が鍵となるでしょう。
- MGM China Holdings Ltd
- Melco International Development Ltd
- SJM Holdings Ltd
一方、6ヶ月間のスパンで見ると、株価の変動はさらなる規制や、観光客数の完全回復の遅れの影響が示されており、各企業の適応戦略が今後の成長に大きな役割を果たすと考えられます。
このように、香港証券取引所に上場しているゲーミング関連銘柄は、今後観光業の復興と共に長期的な成長が期待される一方で、短期的には市場の変動が目立っています。
これらは、中国のゼロコロナ政策からの回復がまだ完全ではないことによる観光業の停滞や、フィリピンのカジノ規制の強化、中国本土でのパチンコ人気の高まりなど、外部環境が株価に大きな影響を与えています。
今後の投資判断において、投資家は単なる短期的な株価変動にとどまらず、企業の長期戦略や規制影響への深い理解が不可欠です。
また、市場全体の動向と個別企業のパフォーマンスを広く把握することが、リスク管理と投資機会の発見につながるでしょう。
ゲーミング事業総覧では、引き続き各証券取引所別の「ゲーミング事業関連主要株価分析レポート」を発表し、投資家の戦略的判断を支援していきます。