更新日:2024年12月4日
世界のゲーミング規制の中でも、北米の市場は規制の変化と成長機会の拡大が進む注目のエリアです。
北米地域にはアメリカ合衆国、カナダ、そしてメキシコが含まれており、市場規模は中国のゲーミング市場に並びます。
本記事では、2024年11月時点の北米ゲーミング市場の規制状況を分析し、成長機会に関する独自の調査結果をご紹介します。
投資家やカジノ関連株に関心のある方、業界関係者が市場の動向を把握し、戦略的な意思決定に役立てられる情報の提供を目指しています。
2024年11月|北米ゲーミング市場の成長機会と規制の展望
2024年11月現在、北米のゲーミング市場はテクノロジーの進化とプレーヤー層の拡大により、新たな成長期を迎えています。
また、規制の展望が市場の方向性に大きな影響を与える中で、2024年の市場規模は685.7億米ドルと見積もられ、2029年には1,038.3億米ドルに達すると予測されています。
この成長は、年平均成長率(CAGR)8.65%という安定した拡大を示しており、今後も注目される市場です。
また、モバイルゲーミングの拡大が加速する中、カジュアルゲームやソーシャルカジノゲームの人気が高まり、多くの企業が新規ユーザー層の獲得に向けて積極的な投資を行っています。
スマートフォンの普及と手軽に楽しめるゲームの需要が、この成長をさらに後押ししています。
クラウドゲーミング市場の成長も目覚ましく、北米では特に年平均成長率(CAGR)が高い地域の一つとして注目されています。
従来の高性能デバイスに依存せず、ゲームストリーミング技術を活用することで、幅広いユーザー層にアプローチできる環境が整いつつあります。
このように、北米が最新技術の導入でリードする中、日本の大手企業であるセガサミーも北米市場への進出を強化し、世界のゲーミング産業全体に大きな影響を与えています。
さらに、eスポーツも北米ゲーミング産業の中で大きな成長分野です。
視聴者数の増加とスポンサーシップの拡大が進み、プロチームの発展や専門施設の建設が進むことで、今後さらに大きな市場規模への成長が期待されるでしょう。
2024年11月|北米ゲーミング市場の規制状況
2024年11月現在、北米ゲーミング市場は成長が見込まれる一方で、ユーザー保護や業界の透明性を重視した規制強化や見直しが重要になってきています。
現在、各国で多様な規制の導入や見直しが行われており、市場環境が大きく変化しています。
北米におけるゲーミング規制の主なテーマとして挙げられるのは、以下の三つです。
- ゲーム内課金とルートボックス
- データプライバシーとセキュリティ
- ゲームコンテンツの規制
以下では、それぞれの国ごとにこうした規制の現状について詳しく解説していきます。
ゲーム内課金とルートボックスの規制
ゲーム内課金とルートボックスの規制は、プレーヤーがゲーム内で追加アイテムや特典を購入する際の透明性や公平性を守るために導入されています。
ランダムで何かしらのアイテムを獲得できるルートボックスは、ギャンブルに類似する性質を持ちます。
そのため、北米ゲーミング市場を含む各国では、若年層への悪影響を懸念しながら規制の導入や見直しが進められています。
- アメリカ
アメリカでは、ルートボックスを禁止する法案と連邦レベル及びハワイ州で提出されていますが、現時点で明確な規制はありません。その他の州でも青少年の保護を目的とした法案を検討中です。
業界自主規制として、エンターテインメントソフトウェア協会(ESA)はゲーム内課金について透明性を保つためのガイドラインを作成しています。
- カナダ
カナダでは、連邦および州レベルでの規制が進行中です。
現在、ルートボックスに対する規制は確立されていませんが、消費者保護の観点から各州で議論が進められています。
過去にはルートボックスを巡る裁判が行われ「違法なゲーム」という原告からの主張は退けられました。しかし別の告発により集団訴訟の継続が認められ、法的紛争が続いています。
ゲーム内課金に対しては、透明性を確保するためのラベル表示を推奨する取り組みが行われています。
- メキシコ
メキシコでは、ゲーム内課金とルートボックスに関する規制はまだ正式に導入されていませんが、青少年のギャンブルへのアクセス制限を強化するための議論が進んでいます。
特にルートボックスがギャンブルに近いものとして見なされているため、業界関係者からも自主規制の動きが見られます。
データプライバシーとセキュリティの強化
北米ゲーミング市場でも注目されるデータプライバシーとセキュリティの強化は、プレーヤーの個人情報やゲーム内で収集されるデータの保護を目的としています。
これにより、個人データの悪用を防ぐ取り組みが進められており、各国で独自の法規制が導入されています。
- アメリカ
アメリカでは、カリフォルニア州のCCPA(消費者プライバシー法)が代表的な例で、個人情報の収集、保存、利用に関して厳格な規制がゲーム業界にも適用されています。
さらに、連邦レベルでは包括的なプライバシー保護法の導入が検討されており、ADPPA(米国データプライバシー保護法)がすでに委員会で可決されるなど、進展が見られます。
- カナダ
カナダのデータ保護法であるPIPEDA(個人情報保護および電子文書法)は、企業に対してプレーヤーのデータ保護を義務付けています。
他にも各州が独自のデータプライバシー法を制定し、規制をさらに強化しています。
ゲーム企業は、プレーヤーデータの収集・保存・利用方法を明示する義務があるため、透明性が求められています。
- メキシコ
メキシコではデータ保護法が存在し、企業は利用者のデータ保護を行う義務を負っています。
特にゲーム内で収集されるデータに関しては、利用者の同意を得るプロセスが強化され、今後は追加のプライバシー保護策が導入される予定です。
ゲームコンテンツの規制
ゲームコンテンツの規制は、主に暴力や性的な表現、偏見を含む内容を制限し、年齢に応じた適切な内容を提供するために行われます。
北米のゲーミング市場の規制では、以下のように青少年を保護するためにさまざまな基準が設けられています。
- アメリカ
アメリカでは、ESRB(エンターテインメントソフトウェアレイティング委員会)が主導するコンテンツレイティングシステムが運用され、ゲーム内容を年齢別にランク付けしています。
また、州ごとに異なるコンテンツ規制があり、一部の州では暴力的なゲーム販売に制限があります。
- カナダ
カナダでもESRBのレイティングシステムが広く採用されていますが、州によっては独自のガイドラインが設けられています。
特に青少年の精神的健康に配慮した規制が重視されており、ゲーム内での暴力描写やいじめのシーンに対する基準が厳しい傾向にあります。
- メキシコ
メキシコでは、独自のゲームコンテンツに関する統一的なレイティング制度はまだ確立されていませんが、ESRBのレイティングシステムで制限を設けています。
他の北米各国と同様、青少年に悪影響を及ぼす可能性がある表現に対しての議論が進められ、特に暴力や性表現については業界団体と政府が協力し、基準の導入を検討しています。
総評
2024年の北米ゲーミング市場は、各国での規制緩和により合法的な市場が拡大し、新たな成長機会が生まれています。
中でも、統合型リゾートを中心とした米国IRの拡大は、ゲーミング事業全体の成長を牽引しており、市場の注目を集めています。
ゲーム内課金やデータプライバシー、コンテンツ規制の見直しが進むことで、参入のハードルが下がり、企業にとっては、市場拡大の大きなチャンスになっています。
この流れは、ニューヨーク証券取引所に上場するゲーミング事業関連主要株価にも好影響を与えており、投資家にとっても注目すべきポイントです。
また、北米市場はその規模の大きさと影響力から、世界のゲーミング産業全体に大きな影響を与えています。
テクノロジーの進化や市場ニーズに対応した取り組みが進むことで、北米の成長は他の地域の市場拡大を後押しする役割を果たしており、今後もさらなる発展が期待されています。
こうした北米ゲーミング市場での規制緩和の動きは、ゲーミング産業全体に明るい未来をもたらし、その成長の基盤になっているといえるでしょう。