iGaming業界の解説まとめ

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更新日:2024年11月20日

iGamingとは

iGamingとは

iGamingは、オンライン上で賭けが行えるゲームを指します。例えば、リアルマネーを使用したライブカジノゲーム、オンラインスロットゲーム、スポーツベッティング、競馬ベッティングなどが、iGamingに含まれます。また、オンラインカジノと称されることもあります。

iGaming分野の評価額は2016年末の時点で約417億8000万米ドルであり、Transparency Market Research(TRM)によると、2024年には約2倍の約1000億米ドルになるとされています。

そんなiGamingが誕生したのは1994年のことでした。この年にMicrogamingが最初のオンラインiGamingウェブサイトを開発します。そして、ジャックポットスロットの「CashSplash」などが誕生しました。そして、1998年になるとPlanetPokerが初のオンラインポーカールームを開設します。

2000年になるとiGamingの利用者数は世界で約800万人に増加し、売上高は20億ドルを突破します。

そして、2010年には100億ドル、2020年にはiGamingの市場規模は596億米ドルと急速に成長してきたのです。そして、今後もiGaming業界は急速に成長することが予想されてます。

このように世界で人気を集めているiGamingですが、ギャンブルであるため問題点もあります。

その1つが国による規制です。iGamingは多くの国で楽しまれていますが、たとえ運営元が現地国で合法的に運営していたとしても、国によってはそのサービスにアクセスすることを制限していることもあるのです。制限される理由の背景には、外国に資金が流出すること、あるいは国内の国営ギャンブルの需要が減ることなどが挙げられます。また、ギャンブルに関する規制は頻繁に変更されるため、国によっては今は良くても後から、iGamingに対する利用ルールが制限されることもあるでしょう。

iGamingの代表的な会社

世界各国では多くのiGaming関連の企業があり、それらの数は年々増加しています。

iGaming業界には主にオペレーターとゲーム供給会社に分けることができます。ここでは具体的にそれぞれにはどのような企業があるのかを見ていきましょう。

iGaming企業のオペレーター

iGaming企業のオペレーターとしては、具体的に以下を挙げることができます。オペレーターの多くはiGamingプラットフォームを運営しているほか、自社でゲーム開発をおこなっているものもあります。

Bally’s (旧Gamesys)

iGaming企業(Ballys)

Bally’sはカジノやリゾート、デジタルスポーツベッティングなどを提供するカジノエンターテイメント企業です。

Bally’sは世界中に約10,000人の従業員を保有しており、アメリカにて14のカジノ、競馬場、18の州におけるオンラインスポーツベッティングライセンスを保有しています。そして、15,800台以上のスロットマシン、500台以上のテーブルゲームを揃えています。

そんなBally’sはiGamingの開発も行っており、世界初となるiGamingスタジオのRAWを開発するなど、多くのゲームを提供しています。

LeoVegas

iGaming企業(LeoVegas)

LeoVegas ABはスウェーデンのモバイルゲーム会社であり、iGamingプラットフォーム・レオベガスを運営しています。LeoVegas Gaming Ltd.は、ストックホルム証券取引所に株式を上場している親会社であるLeoVegas ABの子会社という位置付けになります。

LeoVegas ABはテーブルゲーム、ビデオスロット、プログレッシブジャックポット、ビデオポーカー、ライブベッティングなどの多くのゲームを開発しており、カジノゲームとスポーツベッティングサービスを多くの国際市場に提供しています。

Kindred

iGaming企業(Kindred)

Kindred GroupはUnibet、Maria Casino、32Red など9つのiGamingプラットフォームを運営しているiGamingオペレーターです。そして、Kindredはオンラインポーカー、オンラインビンゴ、スポーツベッティングなどのゲームを提供しています。

Kindredはマルタで登記されている企業ですが、ジブラルタル、ロンドン、ストックホルム、アメリカ合衆国などにオフィスを保有しており、さらにヨーロッパとオーストラリアに小規模なサテライトオフィスを構えています。

iGaming用ゲームの供給会社

iGaming用ゲームの供給会社とは具体的にゲームを開発している企業のことを指します。iGaming用ゲームの供給会社の代表的なものとしては、以下の企業を挙げることができます。

Evolution

iGaming企業(Evolution)

Evolutionは2006年にスウェーデンで設立されたiGaming用ゲームの供給会社です。Evolutionは、iGamingの中でも本物のディーラーと対戦することができるライブカジノに特化しているのが特徴です。

そして、EvolutionはイギリスのGAMBLING COMMISSIONやマルタ共和国のMGA(Malta Gaming Authority)、ALDERNEYをはじめ、イタリア、デンマーク、スペイン、アメリカ合衆国ニュージャージー州の合計6つのライセンスを取得していることから、信頼度の高いゲームプロバイダーとして知られています。

Evolutionは急速に成長しているiGaming用ゲームの供給会社であり、グループの従業員数は4000人を超えています。そして、ヨーロッパだけではなくアメリカにも進出するなど、世界中でビジネスを展開しています。

Evolutionはこれまで100種類以上のゲームを提供しており、ライブカジノにはバカラやポーカー、ブラックジャックなどの定番のものの他、モノポリーライブやクレイジータイムなどユニークなゲームも多くリリースしてきました。

Microgaming

iGaming企業(Microgaming)

Microgamingは、英国マン島を本拠地として1994年に設立された、ソフトウェアプロバイダーです。Microgamingはイギリスやマルタ政府が発行するライセンスを取得しているほか、第三者審査機関「eCOGRA」を共同設立していることから、安心できるソフトウェアプロバイダーだと言えます。

Microgamingは、ポーカー、ビデオスロット、ブラックジャックなどのゲームを開発しており、設立から現在までに開発したゲームの数は800種類を超えています。そして、ランドカジノとオンラインプラットフォームの両方にゲームを提供しています。

International Game Technology

iGaming企業(IGT)

International Game Technologyは、1981年に設立されたソフトウェアプロバイダーの1つです。

International Game Technologyはイギリスに拠点を置いており、ローマ、ラスベガス、フランスのプロヴァンス地方など全世界で1万人をこえる従業員を抱えています。そして、2005年にはWagerWorksを傘下に置くほか、2014年にイギリスのソフトウェアプロバイダーであるGTECHと提携するなど、大手ソフトウェアプロバイダーとして成長してきました。

そんなInternational Game TechnologyはiGamingの開発だけではなく、システム製品、オンラインおよびモバイルのゲーミングソリューションの設計、ソーシャルコンテント、宝くじ製品の提供など幅広い分野で活躍しています。

iGamingが盛んな国

iGamingは多くの国で楽しまれていますが、特にヨーロッパにおいて大きな産業として注目されています。以下では具体的にiGamingが盛んな国を見ていきましょう。

スウェーデン

意外かもしれませんが、スウェーデンはiGamingで有名な国として挙げることができます。

スウェーデンは長年にわたってiGaming産業が盛んであり、オンラインギャンブルが人気を集めているのです。
最近の調査では、スウェーデン人の60%がiGamingプラットフォームで少なくとも一度はギャンブルをしたことがあるというデータもあり、それらの人のうち33%の人は週に1回以上ギャンブルを行なっているとされています。

スウェーデンでiGamingが成功した大きな理由は、政府にあります。スウェーデンでは政府がすべてのギャンブルを一元管理し、ギャンブルをする際の安全性を確保しているのです。これがスウェーデン国内のでギャンブルを後押ししていると言えます。

また、テクノロジーも大きな要因として挙げることができます。スウェーデンはテクノロジーが進んでおり、多くの人がモバイルからiGamingが楽しめる環境が整っています。これにより、iGamingが浸透しやすいのです。

最後の理由としては税制が挙げられます。スウェーデンでは、胴元(カジノなどのオペレーター)のみに収益の約18%が課税される仕組みとなっており、ユーザーに対しては課税はありません。すべての賞金をそのまま受け取ることができるため、ギャンブルをする人が多いのです。

イギリス

イギリスは、ヨーロッパの中でもiGamingが人気を集めている国の1つです。

そして、ゲームオペレーターやプロバイダーの多くがイギリスに拠点を置いています。また、他の国で設立された企業であっても、イギリスに支店を構えていることがよくあります。

iGamingがイギリスで盛んな理由としては、デベロッパーと企業を挙げることができます。イギリスではこれまで有名なカジノブランドやデベロッパーが多数誕生しており、iGamingサービスが人気を集めているのです。

また、マーケティングから消費者まで、すべてが組織化されていることもイギリスのiGamingが人気を集めている理由となっています。そして、スウェーデンと同様、イギリスではギャンブルで得た賞金に課税されることはありません。

マルタ

ヨーロッパにある小さな国であるマルタは他の産業ではあまり知られてはいませんが、iGamingの分野においてはかなり成功している国として挙げることができます。マルタは人口の少ない国ですが、iGaming業界では9000人以上のマルタ国民を雇用しています。また、マルタの経済に7億ユーロ以上の利益をもたらしていることから、iGamingはマルタの経済を支えているとも言われています。

マルタにあるMalta Gaming Authorityは、最も組織化されたギャンブルの管理機関の1つとして知られており、多くの国のギャンブル機関に対してライセンスを付与しています。

無税のイギリスやスウェーデンとは異なり、マルタでは賞金に対して課税されます。これが理由で国もiGamingを推奨しており、多くの人の間で楽しまれているのです。

ドイツ

ドイツではスポーツベッティングが昔から合法的に楽しまれているということもあり、これからiGamingがさらに盛り上がっていくのではないかと注目されています。

現在ドイツのiGaming産業は急速に成長しており、過去3年間だけで、ギャンブル市場は3億ユーロ以上成長しています。

アメリカ合衆国

ヨーロッパ以外の国でiGamingの先進国として知られているのがアメリカ合衆国です。

アメリカ合衆国ではiGamingを楽しんでいる人の数が多く、デベロッパーも多く存在しています。そして、現在アメリカ合衆国のギャンブル産業は、年間1380億ドル近くを売り上げています。

ただ、アメリカ合衆国がヨーロッパほどのiGaming大国となっていない理由としては、法律上の問題が挙げられます。州によってはiGamingを禁止していることもあるので、これによりiGaming人口が増えないということが挙げられます。

海外のiGaming事情

海外のiGaming業界は急速に成長しており、各国での規制や合法化の動きが活発化しています。

このセクションでは、海外のiGaming市場の最新動向や、各国における規制の現状、さらには市場の将来展望について詳しく解説します。

ニューヨーク

アメリカ合衆国のニューヨーク州は、2024年1月に議会で提案されたiGaming拡大法案を検討しています。

ニューヨーク州では、今後3年間で36億ドルの財政赤字が予想されており、この法案ではオンラインカジノ収益に30.5%の税率を課すことが提案されています。

iGamingの合法化が実現すれば、ニューヨーク州は10億ドル以上の収入を得られる可能性があると期待されています。

この法案には、オンラインポーカーの規制強化も含まれており、不正防止や公正なゲーム環境の確立が目的です。また、プレーヤー同士が直接対戦するピアツーピアポーカーや、複数州が共同で運営するMSIGA(Multi-State Internet Gaming Agreement)への参加も提案されています。

ニューヨーク州がMSIGAに参加すれば、プレーヤー数の増加や市場の活性化が期待され、州全体のiGaming市場が拡大するでしょう。

ミシガン

アメリカ合衆国のミシガン州では、iGamingが2021年1月に合法化されて以来、市場が急速に成長しています。

2024年の初めまでに、ミシガン州のiGaming市場は累計収益が50億ドルを超え、全米で3番目に大きなiGaming市場へと成長しました。

2024年6月には、ミシガン州のiGaming収益が1億8320万ドルを記録し、2023年同月比で20.2%増加しました。

ただし、スポーツベッティング収益は、6月には3090万ドルにとどまり、前月比で減少しています。これは、スポーツイベントの季節的な変動や、特定のオペレーターによるフリープレイの控除が影響していると考えられます。

2024年上半期のiGamingの総収益はすでに11億6000万ドルに達し、前年同期の9億3500万ドルを大幅に上回っています。このペースが続けば、2024年の年間収益は23億4000万ドルに達する見込みです。

競争が激化する中、主要ブックメーカーのBetMGMやFanDuelが市場のトップを争っており、各社はプロモーション活動やゲーム提供を強化しています。これにより、ミシガン州のiGaming市場はさらなる成長が期待されています。

ブラジル

2023年12月、ブラジル政府はスポーツベッティングおよびオンラインカジノを含むiGamingの合法化を正式に発表しました。

これにより、世界で7番目に人口が多いブラジルのギャンブル産業は大幅に拡大する見通しです。

新しい法律のもと、スポーツブックとiGamingオペレーターには12%の税率が適用され、賭け金の15%が連邦政府に納付されます。また、オンラインカジノのライセンスは、5年ごとに500万ドルで更新可能です。

ブラジル政府は、この新市場の成功により、年間20億ドル以上の税収が期待できると予測しています。

さらに、ブラジルのiGaming市場は急速な成長を遂げており、その中でも特に注目を集めているのが、アビエイターのようなクラッシュゲームです。

これらのゲームは、仮想通貨やNFTを統合したWeb3ゲームの一環としても人気を集めており、プレーヤーはデジタル資産を活用してゲームに参加できます。

ブラジルでは、仮想通貨対応のオンラインカジノが増加しており、これがWeb3技術を活用したゲームの普及を後押ししています。

このトレンドは、ブラジルのみならず、世界のiGaming市場のさらなる成長と経済への影響をもたらすと見られています。

iGaming業界の論点

iGaming業界は、成長が著しい産業として注目されていますが、地域によっては、国の制度や法律がしばしば追いついていないこともあるようです。

iGamingを容認して、税金を課すことで当該地域の経済活性化になるため、世界では受け入れる方針が主流です。しかし、マネーロンダリングイカサマなどを問題視したり、国内の賭博ビジネスを守るために、あえて容認しようとしないエリアもあるようです。

特に国内賭博の保護を主張する側の視点では、iGamingの還元率の高さが驚異に感じられているようです。一般的な宝くじやレース系の賭博は、参加者に対する還元率が非常に低い反面、iGamingでは90%以上のものはザラにあります。数学的に考えて、圧倒的に儲かりやすいと考えられる傾向が高いため、iGamingに需要が流れてしまうことを懸念しているようです。

なお、iGamingでは本人確認を義務化している運営元が大半なため、上記で挙げたようなマネーロンダリングに対する懸念は、杞憂に過ぎないのではないでしょうか?

今後は、当該業界に対する正しい実態の認識を広げて、今後どう向き合うべきなのかを慎重に考えなければならないでしょう。

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監修者兼ガイド

小山道也

カジマル編集長担当、オンカジ業界専門家

オンカジ業界経験10年超。コンサルタントとして就業した後に、欧州でビジネス修士号を取得。そして、海外マーケテシング企業にて、オンラインカジノのメディア立ち上げに携わり、今に至る。 論理思考や分析思考をもとに、入金不要ボーナスをさまざまな観点で解析し、読者に分かりやすく解説するのが得意。独自のレーダーチャートは、その他メディアでも参考にされ業界の標準化にも貢献した。当メディアの運営以外では、オンカジサイト立ち上げ時の外部アドバイザーとしても活動している。

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上級ライター・評論家

斉藤亜季

コンテンツ制作担当

オンカジ運営側でカスタマーサポート、キャンペーン企画、マーケティング、そしてトラブル対応など多岐に渡る役割を経験。その後、幅広い経験が認められ、カジマル.comのエディトリアルチームに参画。 過去には、ホスピタリティマネジメントの学士号を取得し、実務経験も積んでいるため、顧客管理に対する知識が深い。そのため、利用者目線での分析を得意とする。オンカジ業界はまだサービス面での改善が必要であると考え、率直な批評もいとわない。

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